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無電解ニッケルめっきはアルミに適用可能?基本から工程まで詳しく解説

無電解ニッケルめっきはアルミに加工できる?

アルミへの無電解ニッケルめっき加工の可否についてご質問を頂くことがあります。結論としてはアルミへの無電解ニッケルめっきは可能です。

軽量で耐食性の高いアルミ材へのめっきは、耐食性や耐摩耗性など機能の向上が可能となるため、幅広い分野で高いニーズがあります。

しかしアルミは「酸化被膜」を形成しやすい特徴があり、この酸化被膜が無電解ニッケルめっきの密着性を低下させる要因になるため、加工の際には特殊な前処理が必要となります。

通常のプロセスとは異なるため、アルミへの無電解ニッケルめっきを依頼する際には、アルミ材への加工経験やノウハウを十分に持つメーカーを選ぶことが重要です。

今回はアルミへの無電解ニッケルめっきを主題に、めっきのプロセスやメリットについて、スズキハイテックが解説いたします。モノづくりのご参考にご覧いただけますと幸いです。

スズキハイテックはアルミへの無電解ニッケルめっきに対応しております。めっきでお困りの事がございましたら、お気軽にご相談ください。

アルミへの無電解ニッケルめっきの工程について

アルミ材への無電解ニッケルめっきでは、アルミの特性に合わせた適切な前処理を行います。

【アルミ材への無電解ニッケルめっきの工程】

(1) 脱脂
(2)エッチング
(3)デスマット
(4)ジンケート処理(亜鉛置換)
(5)剥離
(6)ジンケート処理(亜鉛置換)
(7)無電解ニッケルめっき

鉄など他の素材と比べて処理工程が多い理由は「酸化被膜の除去」が挙げられます。わずかな酸化被膜でもめっきの密着不良の原因となる可能性があるため、各工程でしっかりと取り除く必要があります。

以下にて、各工程について詳しくご紹介しましょう。

(1)脱脂

脱脂工程は、アルミ表面に付着した油分や汚れを除去する目的で行われる処理です。

製品の表面に切削油や潤滑剤が残留していると、後のめっき工程で不良を引き起こす原因となる可能性があるため、しっかりと汚れを取り除きます。

アルミは酸やアルカリ性に弱く、このような薬品で脱脂をしてしまうと、溶解して製品の形状が変化してしまう可能性があります。このため、脱脂には弱アルカリ性や中性の薬品にて脱脂を行うのが一般的です。

(2)エッチング

エッチングは酸化被膜の除去、まためっき皮膜の密着性を得る目的で行われる工程です。

エッチングはアルカリ性の薬品や電解などでアルミ表面をわずかに溶解させ、酸化被膜を除去するとともに、表面を粗化し、めっきの密着性を向上させます。

ただし、エッチングは製品表面に対して行われるため、部品の寸法や形状に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、高品質な仕上がりのためには、豊富な経験とノウハウを持つメーカー選びが重要です。

(3)デスマット

デスマット処理は、脱脂やエッチング後の製品の表面に残ったスマット(残留物)を除去する工程です。

前の工程では、脱脂やエッチングによって汚れや酸化被膜を除去しますが、表面にはアルミ合金に含有する銅やケイ素などの添加物が残留物として残っています。デスマット処理は、このスマット(残留物)を除去する目的で行われます。

わずかな残留物でも密着性の低下の原因となるため、デスマット処理でしっかりと除去して製品の表面をクリーンな状態に整えます。

(4)~(6)ジンケート処理(亜鉛置換)と剥離

ジンケート処理は亜鉛置換とも呼ばれており、アルミ表面に亜鉛の薄い層を形成する工程です。

アルミは酸素に触れるとすぐに反応し、酸化被膜を形成してしまいます。酸化被膜はめっきの密着性に影響を与えるため、アルミが酸素に触れないようにする必要があり、このためにジンケート処理を行います。

アルミの表面に亜鉛の置換膜を形成すると、置換膜とアルミの間には酸化被膜は存在せず、またアルミが露出していないので酸化被膜の形成を防ぎます。

ジンケート処理は基本的に2回行われます。一度目のジンケート処理の後に剥離し、再びジンケート処理を施します。

なぜ、ジンケート処理が2回行われるのか。1度目のジンケート処理+剥離工程により、表面の酸化被膜の状態が全体的に薄く均一なものになります。この状態で2回目のジンケート処理をすることで、酸化被膜が迅速に剥がされ、きめ細かく密度の高い亜鉛皮膜が形成されます。そのため、残存する酸化被膜や、めっきまでの過程で形成してしまう酸化被膜がほとんど皆無となり、めっきの密着性と耐食性が向上します。

(7)無電解ニッケルめっき

最後に、無電解ニッケルめっきを行います。

めっき液中で起こる化学反応を利用し、アルミ表面に均一なニッケル被膜を形成します。アルミにニッケル皮膜を形成する事で耐食性や耐摩耗性、装飾性を付与します。

無電解ニッケルめっきは化学還元反応を利用してめっき皮膜を析出する技術であるため、形状が複雑な製品にもムラのない均一な厚みでめっきがつけられ、精密な部品にも適しています。

また密着性の向上、水素脆性の防止などを目的に、ベーキング処理などの後処理を行う場合もあります。

無電解ニッケルめっき アルミ 工程

アルミへの無電解ニッケルめっきのメリットとは?

アルミに無電解ニッケルめっきを施す事には、多くのメリットがあります。アルミの軽さを活かしながら、表面に高機能な特性を付与できるため、様々な分野で高いニーズがあります。

【アルミへの無電解ニッケルめっきのメリット】

●軽量化と高性能の両立
機能性と軽量化が求められる自動車産業や航空宇宙産業などでの利用が拡大しています。

●耐食性の向上
アルミは酸化被膜によりある程度の耐食性を持っていますが、無電解ニッケルめっきによりさらに優れた耐食性を得られます。これにより、腐食環境下での使用にも適した素材となります。

●耐久性の向上
アルミは、柔らかく加工がしやすいというメリットがありますが、それは変形しやすい、キズが付きやすいといった弱点にもなります。そこで、無電解ニッケルめっきを適用することにより、表面硬度が格段に上昇し耐摩耗性、耐変形性が向上、すなわち、部品等の耐久性が向上します。

多くのメリットがある一方で、加工コストがデメリットとして挙げられます。前述したように、アルミへのめっきは通常よりも前処理工程が多いため、加工コストが高くなります。

しかし、軽量なアルミ材、そしてめっきによる高い付加価値は、結果として信頼性の高い製品の提供に繋がるため、加工コストを補って余りあるメリットと言えます。

スズキハイテックのアルミへの無電解ニッケルめっき技術について

これまでご紹介した通り、アルミ材は軽量性や耐食性を活かした製品に利用されるケースが多い素材である一方、アルミは純アルミから様々な合金の材料まで種類がたくさんあるため、加工の際には種々の材料に対応した前処理が求められます。よって、めっき加工においては難易度の高い素材で、加工の際には特殊な前処理に対応できる技術力やノウハウ、豊富な加工経験が求められます。

スズキハイテックは長年アルミ材への無電解ニッケルめっきを行ってきた実績があり、最新の設備やシステム、これまで培ってきた技術力によって、高品質なめっき品を提供しております。量産にも対応しているほか、試作のご相談にも対応可能です。

設計段階からのご相談にも対応しており、最適なめっきプロセスのご提案もいたしますので、アルミ材への無電解ニッケルめっきで課題がありましたらお気軽にご相談ください。

自動化システムにより安定した品質と大量生産を実現

弊社は積極的に生産システム、自動化システムにDXを取り入れており、生産性や品質の向上を実現しております。無電解ニッケルめっきにおいては最新の自動化システムを導入し、24時間稼働による安定且つ効率的な生産体制を確立しています。

無電解ニッケルめっき アルミ 加工

車載部品、また電子部品(半導体部品)など、高い品質が求められるものも、安定した品質での量産に対応しており、お客様の様々なご要望にお応えする事が可能です。

めっきの自動ラインの他にも、各種検査、測定、分析に対応する自動装置も備えており、お客様がお求めの仕様を社内で完結し、提供いたします。

■自動膜厚検査装置
無電解ニッケルめっき アルミ 自動膜厚検査装置

■自動外観画像検査装置
無電解ニッケルめっき アルミ 自動外観画像検査装置

生産システム・自動化システムの詳細はこちら>>

SSNプロセスではんだ付け性も向上

従来、無電解ニッケルめっき(高リンタイプ)は、表層に酸化被膜を形成する事から、はんだ付けを行う製品には適さないとされてきました。

この無電解ニッケルめっきの課題に対し、弊社は無電解ニッケルめっきのはんだ付け性を向上させる技術として「SSNプロセス」を独自に開発いたしました。2週間経過後も酸化被膜の形成を抑え、良好なはんだ濡れ性の維持が可能です。

無電解ニッケルめっき アルミ SSNプロセス

■リフローによるはんだ濡れ試験、被膜表面酸素量測定の結果無電解ニッケルめっき アルミ SSNプロセス

SSNプロセスによる無電解ニッケルめっきは、電子部品や精密機器など、はんだ付け工程が重要な製品に適しており、様々な分野で実績がございます。

無電解ニッケルめっき アルミ 加工実績

はんだ付け性を向上するSSNプロセスの詳細はこちら>>

アルミへの無電解ニッケルめっきのご依頼・ご相談はスズキハイテックへ

アルミ素材への無電解ニッケルめっきは、機能の向上や製品の軽量化の実現など、様々なメリットがあります。しかし、アルミへのめっき加工には高度な技術とノウハウが必要である事をご紹介しました。

スズキハイテックはアルミ素材特有の課題に対応し、高品質なめっき技術を提供しております。最新の自動化システムによる加工により、高品質で安定した製品をお届けします。

設計段階からのご相談、試作から大量生産まで幅広い対応をしております。アルミへの無電解ニッケルめっきのご依頼はもちろん、製品の品質向上や表面処理における課題がございましたら、お気軽に以下の窓口までご相談ください。

お問い合わせ先はこちら
電話番号:023-631-4703
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