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無電解ニッケルめっきのはんだ濡れ性を改善!SSNプロセスについてご紹介

無電解ニッケルめっきのはんだ濡れ性について

無電解ニッケルめっき(Ni-P)は、化学反応を利用して金属表面に均一なニッケル被膜を形成する技術です。無電解ニッケルめっきは化学反応にてめっき皮膜を形成するため、形状の複雑な部品にも均一にめっきを施すことができ、耐食性や耐摩耗性に優れる皮膜特性があります。

無電解めっきの中でも無電解ニッケルめっきはよく選ばれているめっきタイプであり、半導体や自動車部品、精密機器など、さまざまな分野で広く使われています。

無電解ニッケルめっきには、リンの含有量によって以下の3種類があり、それぞれ特性やはんだ濡れ性が異なります。

【無電解ニッケルめっきの種類】

●低リンタイプ
酸化被膜が形成されにくいため、良好なはんだ濡れ性を示します。

●中リンタイプ
耐食性と濡れ性のバランスが取れた特性を持っており、汎用性が高いタイプです。

●高リンタイプ
耐食性に優れる一方で、酸化被膜が形成されやすく、はんだ濡れ性は劣ります。

無電解ニッケルめっき(高リンタイプ)は、形成された酸化被膜によってはんだが馴染みにくく、接合不良の原因となる場合があります。この課題は、電子部品や基板など、精密なはんだ付けが求められる製品にとって大きな問題といえるでしょう。

はんだ濡れ性が劣る状態が引き起こすリスク

はんだ濡れ性が劣る場合、はんだが金属表面に十分に馴染まないため、接合不良が発生しやすくなります。これにより、はんだ付けそのものが困難になる場合もあります。

さらに、接合部が弱くなることで、外部からの振動や衝撃、温度変化に対して耐性が不足し、早期に剥離やクラックが発生する可能性があります。これらの不良は、製品の信頼性を低下させる要因となり、不良率も高まるため、歩留まりの低下につながる可能性もあります。

無電解ニッケルめっき 半導体部品

このようなリスクを防ぐためには、製品の用途や使用環境に適した表面処理を行うことが重要です。

はんだ濡れ性の向上を実現するSSNプロセス

従来の無電解ニッケルめっき(高リンタイプ)は、耐食性に優れる一方ではんだ濡れ性に劣る特徴があり、電子部品や自動車部品など、精密なはんだ付けが求められる分野において大きな課題となっていました。

この課題に対し、スズキハイテックは無電解ニッケルめっき(高リンタイプ)のはんだ濡れ性を向上させる技術として「SSNプロセス」を開発いたしました。

SSNプロセスは、高リンタイプの無電解ニッケルめっきの酸化被膜の形成を抑制し、はんだ濡れ性を改善する技術です。このプロセスにより、従来の無電解ニッケルめっき(高リンタイプ)におけるはんだ濡れ性の課題を解決し、良好なはんだ付けと耐食性の両立が可能となりました。

無電解ニッケルめっき SSNプロセス

このプロセスは、自動車産業や航空宇宙産業など、厳しい品質要求が求められる分野でも採用されています。

無電解ニッケルめっき SSNプロセス 製造の様子

SSNプロセスのメリット

SSNプロセスの3つのメリットをご紹介します。

(1)低リン・中リン・高リンタイプに対応
SSNプロセスは、無電解ニッケルめっきの全タイプに適用可能です。製品の用途や求められる特性に応じて、最適なめっきを提供します。これにより、耐食性やはんだ濡れ性のバランスを柔軟に調整することが可能です。

(2)耐食性の向上
SSNプロセスにより、表面の撥水性を高めることで耐食性をさらに強化。これにより、厳しい環境条件下でも製品の耐久性が確保されます。

(3)安定した品質と量産対応
最新の自動生産システムを導入し、24時間体制での品質管理を実現しています。製品のバラつきを抑え、品質を均一に保ちながら大量生産を行っております。

さらに、スズキハイテックは社内一貫生産体制を整えており、製造から検査までを自社で完結させています。このため、万が一トラブルが発生した場合でも、迅速な原因特定と対応が可能です。

また、お客様のご要望に応じて生産工程を柔軟に調整できる体制を整えているため、試作品から量産品まで幅広く対応しています。

加工実績

スズキハイテックのSSNプロセスは、さまざまな業界で採用されており、無電解ニッケルめっきが必要とされる多様な製品に対応しています。以下は、弊社の無電解ニッケルめっき(SSNプロセス)の加工実績(一例)です。

電動車(xEV)関連部品
電動車のパワーコントロールユニット(PCU)やニッケル水素電池の部品に、SSNプロセスが採用されています。酸化被膜を防ぎながら良好なはんだ濡れ性を確保するSSNプロセスは、高い耐久性と信頼性が求められる製品に最適です。

精密機器
電子顕微鏡や産業機械、医療機器など、高精度が求められる製品にも対応しています。素材やサイズに応じて最適なめっきラインを選定し、高品質なめっきを実現しています。

自動車関連部品
ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー電気自動車(BEV)に使用される冷却器や電池部品でも採用されています。

スズキハイテックでは、製品の素材やサイズに合わせて最適なめっきラインにて加工を行っております。

無電解ニッケルめっき SSNプロセス 装置

SSNプロセスの適用についての詳細や、具体的な事例については、ぜひお気軽にお問い合わせください。

はんだ濡れ性向上のご相談はスズキハイテックまで

はんだ濡れ性は品質や耐久性に直結する重要な要素です。今回ご紹介した弊社のSSNプロセスは、無電解ニッケルめっきの持つ課題を解決し、高いはんだ濡れ性を付与する独自の技術です。

弊社は、創業以来培ってきた高度なめっき技術と、最新の自動化設備を組み合わせることで、お客様の製品に最適なめっきを提案し続けてきました。電子部品や自動車部品、医療機器など、さまざまな分野で多くの実績がございます。

無電解ニッケルめっき 社屋

スズキハイテックでは、設計段階からお客様と共に最適な解決策を追求し、めっきを通じてモノづくりの可能性を広げるサポートを行っています。はんだ濡れ性の向上や、品質向上に関するお悩みをお持ちでしたら、お気軽に以下の窓口までお問い合わせください。

お問い合わせ先はこちら
電話番号:023-631-4703
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