無電解ニッケルめっきの膜厚はどのくらい?特徴や目的別の厚さを解説
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無電解ニッケルめっきの膜厚や特徴をわかりやすく解説します
無電解ニッケルめっきの膜厚や、特徴についてご紹介します。無電解ニッケルめっきは、無電解めっきの中でも最もよく利用されているとてもポピュラーな種類のめっきです。
今回のコラムでは、無電解ニッケルめっきの膜厚を題材に、等級や特徴、そしてよく質問を頂く電気ニッケルめっきとの相違点について、めっきメーカーのスズキハイテックがわかりやすくご紹介します。
加工技術への理解を深めることは、質の良いモノづくりにおいて非常に大切です。モノづくりの際の再確認として、ぜひご覧ください。
無電解ニッケルめっきの膜厚と用途
無電解ニッケルめっきの膜厚はその製品の用途や目的によって異なりますが、最小膜厚が定められていますのでご紹介します。(JIS規格)
●膜厚の等級(最小厚さ)について
等級 | 用途 | 最小の膜厚 |
1級 | はんだ付け | 3μm |
2級 | 防食性、はんだ付け | 5μm |
3級 | 防食性、耐摩耗性 | 10μm |
4級 | 15μm | |
5級 | 20μm | |
6級 | 30μm | |
7級 | 50μm |
上記は鉄(鉄合金)、銅(銅合金)、アルミ(アルミ合金)へのめっきの場合です。膜厚は用途によって最小厚さが異なりますので、用途に最適な厚さかどうか、確認をされることをお勧めいたします。
なお、色につきましては以下のコラムで解説しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
無電解ニッケルめっきの色はこちら>
スズキハイテックでは、用途に最適な膜厚のご相談にも対応しておりますので、お悩みのことがありましたらお気軽にご相談ください。
無電解ニッケルめっきの特徴について
無電解ニッケルめっきの特徴について解説します。
無電解ニッケルめっきは、無電解めっきの中でも特にポピュラーなめっき方法で、化学的にニッケル皮膜を製品の表面に析出させる技術です。以下にて特徴をご紹介します。
無電解ニッケルめっきは入り組んだ形状にも均一な膜厚で成膜
無電解ニッケルめっきは、電気を使わずに化学還元作用によってめっきを析出させるため、複雑な形状や細かい部分にも均一な膜厚でニッケル皮膜を形成できます。対して電気ニッケルめっきは通電することで析出させますが、位置によってムラができることがあります。これは、形状が複雑であればあるほどムラができやすくなります。したがって、無電解ニッケルめっきは均一さを求められる製品のほか、中空部品などの複雑な形状の製品へのめっき処理を可能とします。
無電解ニッケルめっきは厚付けが可能
無電解ニッケルめっきは、用途や使用環境に応じてさまざまな膜厚を選択できます。たとえば、耐摩耗性や耐食性をより向上させたい場合には、めっきの膜厚を厚めに設定することで、表面の保護性能を強化できます。一方で、寸法精度を優先したい場合には、比較的薄めの膜厚にすることで、仕上がりの精度を高められます。どの機能がどれだけの精度で維持できるかは膜厚によって異なり、製品の性能や品質にも影響が出るため、要求事項を十分に確認する必要があります。
絶縁体にも無電解ニッケルめっきが可能
無電解ニッケルめっきは、電気を使用して析出しないため、絶縁体(樹脂、セラミック、紙など)にも処理が可能です。このため、電気めっきの下地としても活用されています。特に近年は、あらゆる分野で軽量化の重要性が高まっており、多様な素材への処理を可能にする無電解ニッケルめっきが注目されています。金属よりも軽い樹脂にめっき処理を施すことで、材料を金属から樹脂へと置き換えることができ、軽量化とともにコスト削減や加工の自由度向上にもつながります。
電気ニッケルめっきとの膜厚や素材の違いとは
同じニッケルめっきという言葉が使われているため、電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきは似ている技術のように感じられるかもしれません。
しかし、以下のような違いがあります。わかりやすく表でご紹介しましょう。
無電解ニッケルめっき | 電気ニッケルめっき | |
析出方法 | 薬品による化学還元反応 | 電気エネルギーによる還元反応 |
仕上がり | ムラのない均一な膜厚 | 電流の影響を受け、ムラが生じる |
対象の素材 | 導電性・絶縁性問わず処理が可能 | 導電性の素材 |
皮膜の成分 | ニッケル-リン(※) | ニッケル |
一般的なコスト | 高価 | 安価 |
※ここでは最も一般的に利用されているリンタイプをご紹介しています。その他にホウ素タイプなどの種類があります。
上記のような違いがあり、用途や目的に応じて使い分けます。
無電解ニッケルめっきの最適な膜厚のご相談も承ります
無電解ニッケルめっきの膜厚を主題に、等級や特徴、そして電気ニッケルめっきとの違いについてご紹介しました。
スズキハイテックは無電解ニッケルめっきに対応しており、お客様のご要望に最適なめっき技術を提供いたしております。
弊社は独自の技術として、半田濡れ性の向上が可能なSSNプロセスも開発しており、ご利用いただけます。
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