無電解ニッケルめっきの色とは?技術の特徴やクロムめっきとの違いなどをご紹介
無電解ニッケルめっきの色を解説
無電解ニッケルめっきの色がどのような色か、ご存知でしょうか。
一般的に無電解ニッケルめっきの色は、飴色のような黄褐色のシルバーです。(※表面の凹凸によって色の見え方が若干異なる場合があります。)
めっきは、使用する金属によって色合いが異なります。このため、外観を重視する製品の場合、めっきの色合いや変色の有無、他のめっき技術との色合いの違いについてご質問をいただくケースもあります。
このコラムでは無電解ニッケルめっきの色について、詳しくご紹介します。色についてご関心をお持ちでしたら、ぜひご覧いただき、ご参考ください。
無電解ニッケルめっきは変色をする?
無電解ニッケルめっきは、基本的に変色など色の変化は起こりません。しかし、硬度や耐食性を向上させる熱処理によって色が変化する場合があります。
熱処理(ベーキング処理)で300℃を超えた温度で処理を行うと、表面が酸化して変色する可能性があります。このため、基本的には外観重視ではなく機能重視の製品で行われるのが一般的です。
熱処理によって色合いに影響を与えたくない場合は、処理の温度を下げたり(※)、処理の際に窒素雰囲気で処理するなどの方法が挙げられます。熱処理を行う製品で、仕上がりの色でご希望がある場合は、めっきメーカーに相談をすることをおすすめします。
※熱処理の際の温度を低下させると、硬度が低く仕上がります。
クロムめっきとの色の違いについて
無電解ニッケルめっきと同程度にポピュラーな種類として「クロムめっき」があります。クロムめっきは耐食性に優れた皮膜であるとともに、硬度が高いことが特徴です。耐摩耗性に優れているため、長期的な摩耗にさらされる環境下での使用に適しているといえます。
この二種のめっきの色に、違いはあるのでしょうか。どちらの色もシルバーですが、見比べてみるとクロムめっきは「青みのあるシルバー」であることがわかります。
このように、めっきをする金属によって色味に違いがあります。クロム以外にも、金や銅などで色合いに大きな違いがあります。
黒色の無電解ニッケルめっきもあります
無電解ニッケルめっきは黄褐色のシルバーであることは前述した通りですが、なかには黒い色の「黒色無電解ニッケルめっき」もあります。
黒色無電解ニッケルめっきとは、通常の無電解ニッケルめっきに黒色化処理を施すことで成膜される黒色の皮膜です。外観の色が黒であるため、光の反射を防止できることが特徴です。光学機器や医療器具など、光の反射防止が必要な部品で使用されています。
弊社では対応しておりませんが、このようなタイプの無電解ニッケルめっきも存在します。
無電解ニッケルめっきの特徴や用途について
無電解ニッケルめっき(Ni-P)の特徴や用途についてご説明します。
- 膜厚が均一である
- 耐食性が高い
- 耐摩耗性が高い
- 材質を問わず処理が可能
化学的な還元反応にて金属皮膜を析出する技術であり、入り組んだ形状の製品でもムラなく均一にめっきすることが可能です。
無電解ニッケルめっきは成分にリンが含まれており、結晶構造の腐食の起点が少ないため、耐食性にも優れています。硬度が高く、耐摩耗性が高い点も大きな特徴です。
無電解ニッケルめっきの耐食性や耐摩耗性は、含有するリンの量によって変化します。リンの量が少ないほうが耐摩耗性が高く、リンが多くなるにつれて耐食性が向上します。11%以上のリンが含まれる皮膜は、非磁性になるなど性質に違いがあります。
用途
無電解ニッケルめっきはさまざまな用途で使用されています。
自動車分野ではエンジンやディスクブレーキに使用され、また、精密機器や半導体部品などにも広く使われています。電子部品の接点やコネクタ、医療機器など、高い耐食性が求められる分野でも利用されています。
さらに、さまざまな材質に対応できるため、樹脂めっきの下地としても使われています。
このように無電解ニッケルめっきは多様な産業で欠かせない技術であり、そのニーズは拡大傾向にあります。
電気ニッケルめっきとの見分け方
電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの色は非常に類似しており、外観から見分けることは困難です。見分ける際には、以下のような方法が採用されています。
(1)めっきの膜厚計測
(2)硝酸の滴下による変色
ひとつめは膜厚の測定です。電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきは膜厚の均一性に違いがあり、電気ニッケルめっきのほうが均一ではありません。したがって、マイクロメータなどで膜厚を計測することで、めっきを見分けられます。
ふたつめは硝酸による反応による見分け方です。電気ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきに硝酸を滴下すると、表面に酸化物が形成されて色が変わります。前者はねずみ色、後者は黒色に変化するため、硝酸の滴下による変色でめっきの種類を見分けることが可能です。
しかし、硝酸は劇薬であり、非常に危険性の高い薬物ですので使用しないようにしましょう。どちらのめっきか判断に悩まれたら、めっきメーカーに相談をしてください。
スズキハイテックの無電解ニッケルめっきについて
スズキハイテックは無電解ニッケルめっきのご依頼を承っております。
弊社では製品に応じて無電解ニッケルめっきのタイプ(低リン、中リン、高リン)が選択できるほか、自動ラインに量産対応も可能です。自動車部品など、厳しい品質要求が課される用途にも確かな技術でお応えいたします。
また、弊社独自の技術として「SSNプロセス」もございます。SSNプロセスは従来の高リンタイプのデメリットであった「半田濡れ性の低さ」を改善した技術であり、優れた耐食性と半田濡れ性の機能の両立が可能となります。
お客様の製品の用途や、ご希望に応じて最適なめっきプロセスのご提案も可能ですので、無電解ニッケルめっきでお困りのことがありましたらスズキハイテックまでご相談ください。
無電解ニッケルめっきのご依頼を承ります!お気軽にご相談ください
無電解ニッケルめっきの色について、解説いたしました。
弊社、スズキハイテックは無電解ニッケルめっきのご依頼を承っております。また、独自に開発した技術「SSNプロセス」もございますので、皮膜特性の向上も可能です。自動化システムも導入しており、大量生産を可能とする体制も整えております。
めっきのことでしたら幅広くご相談承りますので、課題がありましたらお気軽にご相談ください。
最新の設備と高度なめっき技術にて、お客様の製品作りをサポートいたします。
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